2011年1月31日月曜日

最高価買受申出人とは

最高価買受申出人
最高価買受申出人とは落札者のことです。

最高価買受申出人とは、期間入札の開札期日において、適法な入札をした者の中で最も高額な入札金額の申出をし、執行官から最高価買受申出人と定められた者 のことです。

また、買受申出人とは、一定期間買受可能価額以上による定額販売方式を実施する特別売却において、売却実施期間中に最初に適法な買受けの申出 をし、執行官から買受申出人と定められた者のことです。

最高価買受申出人に対する売却許可決定

落札した後に "執行抗告" が競売不動産の所有者等から出されると売却許可決定は確定されず、次の手続きに進むのに1ヵ月~半年とかかってしまう場合があります(現在では殆んど却下されていますが)。

執行抗告は売却決定公告後1週間以内に行わなければならなくなっていますので、1週間経てば売却許可決定の確定となり、約3~4週間後くらいに地方裁判所より代金納付通知書が送られてきます。

2011年1月28日金曜日

債権譲渡通知

債権譲渡通知
債権譲渡 - 民法466条 ~ 473条
債権の内容を変えないで、債権者だけを変更する契約。
債権は、法令で譲渡が禁止されている場合などを除き、原則として譲渡できる。 ただし、債務者への通知または債務者の承諾がないと債権譲渡を債務者に対抗できず、その通知または承諾に確定日付がないと、債務者以外の第三者に対抗できない。

民法466条 - 債権譲渡
1項
債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2項

前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。

指名債権の譲渡の対抗要件
債権譲渡は、債権の譲渡人(債権者)と譲受人との間の契約によってなされますが、それだけでは譲受人は債務者から支払いを受けることができません。 譲渡人(元の債権者)から債務者に対する債権を譲り渡したことの通知(または、債務者からの譲渡人・譲受人いずれかに対する承諾)があってはじめて、 債務者に支払うよう主張できます。 この通知は、内容証明など確定日付のある証書により行う必要があります。

民法467条 - 債権譲渡通知書
1項
指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
2項
前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

参考 - 法庫 第3編・債権

Aという債権回収会社から、Bという債権回収会社に債権が譲渡された際には、必ず内容証明郵便で、譲渡された旨の知らせが届きます。

そして、このときに返済内容の変更等の交渉が行われることが多いのです。

2011年1月27日木曜日

催告書・催告状

督促状と催告書の違いとは
督促状とは、 強い意味を持った 支払い・返済の請求書。 催告書(催告状)とは、強い意味を持った「支払いの通知書・返済の通知書」と考えられます。

督促状は、返済または支払を納期限までに納付していない場合、まず、納期限後に債権者から督促状を送付し納付を促します。

督促状を送付しても支払が行われない場合には、債権者より催告書を送付したり、ご自宅やお勤め先などへのお電話や直接訪問で催告をして、 早期にお支払いしていただくようお願いをします。 これ以降納付がない場合は、預金や給与などの財産調査をし、財産が判明した場合は差押な どの滞納処分が行われることがあります。

督促状は出さないと差押などの強制執行ができないけれども催告書以降は督促状さえ出していれば強制執行が出来ます。 督促状を出すのは法律に 基づいた義務的行為であるのに対し、催告書は債権者のお支払いを促す善意とでも解釈をしてください。

2011年1月22日土曜日

売却基準価額の再評価

競売における売却基準価額の再評価

不動産競売制度において、入札が無かった物件の場合、開札日の翌日から1ヶ月間「特別売却 」の対象となります。

特別売却という制度を簡単に 説明しますと「早いモノ勝ち」で、最初に買い受けを希望した人が、最低落札価格で購入することができます。

それでも残った競売物件は、再評価して(つまり最低落札価格の値下げ)、再度競売にかかることになります。

権利関係がややこしく、自分のものにするのに手間取るものや、不動産として利用価値がないものなどがほとんどで、価格を下げたからといって 売れるわけではなく、いつまでも残っているのが現状です。


また、物件の評価額を算出した不動産鑑定士の算出ミスなどでも大きく左右されてしまうことが有ります。 地元のほとんどの不動産業者および地元の土地家屋調査士
たちの評価額が600万円という数字に対して、裁判所が連れてきた鑑定士は950万円という評価額を出してしまいました。

一般的に1.2倍~1.5倍の額辺りが入札額となりますので、1,140万円~1,425万円辺りが落札価格と予想されます。 しかし、地元のほとんどの不動産業者は720万円~900万円の価値しかないと考えていました。 

結果、その物件に入札をした人たちがまったく現れず、特別売却になってしまいました。 しかし、その特別売却にも誰も希望者が現れず、再評価となってしまいました。

この物件、昼間に観ただけでは本当の状況が解らないのです。
この物件から大通りに向かって約3メートル幅の道路が約30メートルはしっています。 ところが、これが私道なのです。 夜になるとこの私道に近隣の車が停まってしまうのです。

そうなると、この物件から大通りに車で出るには、物件と平行にはしっている公道(幅約2メトール強)をバックで出ていかなければならないのです。 その道は緩やかなカーブを左右に描いているので夜にはけっこう大変な作業なのです。

地元の不動産業者たちはこの状況を知っていたのと、他の町からやって来た不動産の評価人との認識の違いが引き起こしてしまった問題でした。

この物件を任意売却で1,200万円で提示していた私たちは、債権者によって安過ぎると任意売却による買戻しを否決されてしまいました。

2011年1月19日水曜日

任売とは

任売
任売とは、住宅ローンなどの借入金の返済いが困難になった場合、債務者(所有者)と抵当権者(債権者)の間に仲介者が入り、抵当に差し出している不動産を競売ではなく 一般の不動産売買のように所有者・債権者・買主の納得のいく価格でお取引を成立させることをいいます。

不動産ローンの返済が或る一定期間滞った場合、金融機関等の抵当権者は、抵当権に従って、所有者の不動産を競売にかけ、現金化して回収しようと します。

競売ですと、いくらで落札されるかは開札日までわかりませんし、また落札価格が市場価格より2~3割低い価格になることもりますし、費用がかかって まいりますので債権者側としても任売での処理を好みます。 そこで任売業者さんとか弁護士先生などが仲介者となって、債務者(所有者)と債権者の間に入り、 なるべく両者に満足のいくような価格で契約をまとめることが任売の特徴です。

任売の落とし穴、任売専門業者さんであれば普通はかかりませんが、中には色々な名目を使って相談料を取る会社さんも有ります。 料金を 取ることは違法行為ではございませんが、それが不動産業者の場合ですと違法行為となります。 任売業者が行う任売の料金は債権者側からお支払いを受けま す。 したがって、顧問料とか相談料とか○○料などは払う必要はありません。 もし、不動産業者からそのような項目の料金の請求を受けたら業者を変えましょう。

また、任売の処理が完了し、清算という時点で色々な名目を付けて引越代から差し引いてくる業者さんが居ます。
例えば、引越代として100万円、その中から残置物処理費用40万円、事務処理費用10万円、物件販売諸経費20万円、交通費10万円、差し引き20万円が 立ち退き費用という形で支払われたケースが有ります。
上記のケースは引越代100万円とうたっていた不動産業者さんで実際に取られていた手法です。 中には1万円とか5千円しかもらえなかったという相談も寄せられて おります。

また、20,000円とか30,000円の相談料で滞納した住宅ローンの返済に付いてのコンサルタントを行っている方々がおります。 ですが、それらカウンセラーさんから得た 回答 が『住宅ローンを6ヵ月滞納してください。 6ヵ月滞納しないと任意売却できません。 そして6ヵ月後にまたお起こしください』といわれたそうです。 たったこの アドバイスを 受けるのに30,000円とは驚きです。 任売業者さんであればこのレベルの回答は無料です。

不動産ローンの返済に行き詰まってしまわれて、競売の危機に立たされている方々に取っては、例え1円でも大切なお金です。 支払わなくとも良い お金は支払うのは止めましょう。 任売をして人生をリセット・リスタートするためにも1円でも多くのお金を蓄えることにすべきでしょう。

任売と競売の比較 - なんと言っても債権者・抵当権者との間に入ってくれる任売業者という代理人・エイジェントが入るう事が上がられるの でないでしょうか。 そしてこの代理人が任売後に残るローンの残金支払いの交渉をしてくれるということです。 競売の場合は残る借金の返済額は一方的に 債権者より月々いくらいくらでお願いしますと押しつけられます。 それが、例えば月々1万円(任売の場合)か月々7万円(競売の場売)かの大きな違いが有ります。

任売後・競売後 - 任売の終了後、たぶん3ヵ月後とか6ヵ月後にかけてサービサーなどより色々な書類が送付されてくると思います。 そのような 時に、任意売却を選択し業者さんを利用しているば気軽に無料でアドバイスが受けられると思います。 競売で処理されてしまった場合、誰に相談 すればよいので しょう。

任意売却を任売と略すことも有るのですが、ときどき任買と変換されてしまって、それをそのまま表記しているホームページもあるようですが・・、任売が正解です。

2011年1月16日日曜日

根抵当権とは

根抵当権
民法第398条2第1項
根抵当権とは、普通の抵当権が特定の債権を担保するのに対して、設定行為により定められた一定の範囲に属した不特定債権を極度額の限度で担保する抵当権の一種です。

民法第398条2第2項
前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。

民法第398条2第3項
特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権又は手形上の請求権は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができます。

根抵当とは、例えば、萬田金融が灰原さんに100万円を貸し、萬田金融がその債権を担保するために灰原さんの土地に抵当権を設定したとします。 その後、灰原さんが、萬田金融に100万円を返済すれば、附従性により抵当権は消滅します。

しかし、根抵当権の場合では100万円を返済したとしても抵当権は消滅しませんし、被担保債権が債権譲渡されたとしても、抵当権は移転しません。

なぜ、このような根抵当権という制度があるのかというと、企業間取引など頻繁に借入や返済が繰り返されるような場合に通常の抵当権では不都合が生じるからです。

抵当権というのは、あくまでも特定の債権を担保するためのものですから、取引があるたびに、その特定の債権を担保するために抵当権を新たに設定しなければなりません。

また、返済があれば、その抵当権は附従性により消滅しますので、抵当権を抹消しなければなりません。 要するに、継続的に頻繁に取引がなされる場合、通常の抵当権であれば、その都度抵当権を設定したり抹消したりしなければならず非常に煩雑になってしまうのです。

そこで、一定の事由が生じ元本が確定するまでは、その間になされる一定の範囲に属する債権については極度額までまとめて根抵当権によって担保できるようにしたのです。

根抵当権を設定することによって、債権が発生する都度、抵当権を設定しなければならないという手間が省けるのです。

担保するとは
債務者がその債務を履行しない場合、債権者に提供されて債権の弁済を確保する手段となるもの。 人的担保と物的担保とがある。 「土地を担保に借金する」 - (広辞苑から)

お金を借りた人が、その借金の返済を怠った場合を想定して、その借金に見合う動産とか不動産を借金のカタに取ることです。

2011年1月15日土曜日

内覧 または 内見

物件の内覧
物件の内見

購入しよう、または賃貸しようとしている不動産物件の中を見ることです。

内覧会完成した建物やお部屋の仕上りを購入者がその目で確かめる目的で開かれる会のことです。

それ以前は、図面やモデルルームなどでしか見る ことができなかったお部屋を、お引渡し前にチェックできる機会です。

図面等により気に入った物件は必ず内見し、いろいろとチェックすること。
実物と間取り図とは必ずしも一致しないことがあります。 図面だけで 契約してしまうと入居してから後悔することになりますので内見する時は不動産会社に手配を依頼しましょう。 案内してくれたり、現地にカギを 隠してあったり、カギを貸してくれたりといろいろな形で内見・内覧ができます。

不動産物件の売り主さんの多くが購入希望者のみで物件の内覧をすることを 極端に嫌いますので仲介業者さんと同行をした方が良いでしょう。

2011年1月13日木曜日

無担保債権とは

無担保債権
債権
債権とは、ある人が、別のある人にに対してお金の支払いなどの特定の要求をできる権利をいいます。 債権を持つ人を債権者、債権によって要求を 受ける人を債務者といいます。

債権は目に見えない"権利"を表す言葉ですが、債権を目に見えるようにしたのが債券です。

担保
担保とは、債務者(お金を借りる人)がお金を返せなくなった時に備えて債権者(お金を貸す人)が 不動産や抵当権を保証として取る事を言ったりします。

お金を貸したのはよいけれど、貸したお金が戻ってこないと困る。  だからもしもの時の保険として不動産などを押さえておくのです。

ちなみに抵当権とは、不動産などを取り上げずに、債権の担保として他の債権者よりも 優先的に返済を受ける権利です。



不動産や抵当権などを担保として取る事を "物的担保" と言います。 保証人や連帯保証人などを "人的担保" などといいます。
無担保債権とは、読んで字の如し ”担保が取られていな無い借金” のことです。
競売後、任意売却後の残債務は無担保債権となるので、返済をしないと「競売するゾ~!」という取立て文句は通用しなくなります。

従って、無担保債権と なってしまった借金は 借り手に開き直られたらお終いです。 実際、競売で家を失った人はその後の返済が著しく困難になる場合が多く、返済をしたくても出来ないことの方が多いよ うです。

また、 無担保債権となることを逆手にとって残債務の支払いから逃げることを勧めている任意売却の業者さんなども居るようです。 しかし、支払わなくても大丈夫だ と高を括っていて給料の差押えなどに合わないように。

無担保だから支払わなくても良いと居直って、半年後・1年後・2年後に突然給料差押えなどが来たらどうします? その辺のところを考えて任意売却を お願いする業者さんを選択すると良いと思います。

2011年1月9日日曜日

無剰余とは

無剰余

先ず、学術的な意味での "剰余" を説明します
剰余とは割り算で割った際に割り切れずに余った数字をさします。

会計学上的な意味での "剰余" とは:
一般に会計上の剰余金とは、「資本の部」の資本金以外のものをいい、これは「資本剰余金」と「利益剰余金」に区分される。

資本剰余金については、資本取引から生じた剰余金であり、「資本準備金」と「その他資本剰余金」とに分類される。また、利益剰余金については、利益を源泉とする剰余金であり、つまり利益の中から会社に留保したものであり(内部留保)、「利益準備金」と「その他利益剰余金」とに分類されます。

会社法上の剰余金は、資本金と法定資本準備金以外のものをいい、貸借対照表上において、「その他資本剰余金」と記されているものとなります。

金融界での余剰とは:
担保の価値よりも債務額が少ない場合。 不動産を売却すれば融資を受けているローン・借金などを全額返せるような場合を指します。

不動産の時価より下回る抵当権がついている場合、残りの時価の部分はまだ担保余力があるとみなされる。

無剰余とは - 不動産を売却しても借金または融資したお金の全額を回収できない状態をさします。

無剰余公売禁止:
国税徴収法第48条第2項・無益な差押の禁止
無益な差押の禁止とは、財産を差し押える場合、財産の価額と差押に係る徴収金に優先する他の債権の合計額を勘案し、差押にかかる徴収金に配当が見込まれない場合には、その財産を差し押えてはならないという規定です。

民亊執行法第63条 - 無剰余取消
裁判所は評価人が算出した評価額に基づき「売却基準価額」を決定します。
そして買受けは売却基準価額から10分の2を控除した額である「買受可能価額」から申し出ることになります。  しかしその買受可能価額が手続費用及び優先債権(租税公課の滞納など)の見込額に満たないために申立債権者に配当がない(無剰余執行)おそれがある 場合には、競売手続を進めることができません(民事執行規則97条,民事執行法63条)。

したがってこの場合、以下のいずれかの方法をとらない限り競売 手続は取り消されます(無剰余取消し)。

2011年1月7日金曜日

申立債権者

申立債権者とは債権差押命令の申立て、競売の申し立てた債権者・抵当権者のことです。

参照 - 東京地方裁判所民事執行センター

申立債権者側からの競売の取下げ
競売の申立債権者は競売開始決定がされた後でも、売却が実施されて売却代金が納付されるまでは、いつでも申立てを取り下げることができます。

ただし、売却が実 施されて、執行官による最高価買受申出人の決定がされた後の取下げについては、原則として最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意を必要と する。

したがいまして、競売を確実に取り下げるためには、申立債権者は、開札期日の前日までに執行裁判所に対し取下書を提出する必要があります。

買受人が代金を納付した後 は、申立ての取下げはできません。
競売の申立てを取り下げるためには、事件番号、当事者、目的不動産を記載し、申立てを取り下げる旨を明言した書面(取下書)を 執行裁判所受付窓口に提出することになります。

支払督促制度
内容証明郵便で返済を請求しても相手が応じてくれなかったり、反応がない場合には、裁判所の力を借りて相手に返済をするように請求する方法があります。 それが "支払督促" と呼ばれる制度です。

支払督促制度とは:
民事訴訟法第382条 - 支払督促制度とは、正式な裁判手続をしなくても、判決などと同じように裁判所から債務者に対して金銭などの支払を命じる督促状(支払督促)を送ってもらえる制度です。

この制度は、民事訴訟法382条で定められたもので、債権回収(お金を取り返す)の有効な手段です。 申立ては金銭債権の額に関わらず簡易裁判所で行います。

通常の裁判とは異なり、申立人債権者の申立書を受理した裁判所は、書面審査のみを行い、申立書に問題がなければ債務者(相手方)に支払督促を送ってくれますので、申立人債権者が裁判所に出頭しなくて済みます。 また、少額訴訟のような請求金額の制限はありません。

2011年1月6日木曜日

民事執行手続

民事執行手続
民事執行手続とは、お金を貸した人(債権者)の申立てによって裁判所がお金を返せない人(債務者)の財産を差し押えてお金に換え(換価)て、債権者に分配する(配当)などして債権者に債権を回収させる手続です。

民事執行手続には、強制執行手続担保権の実行手続などがあります。

強制執行手続と担保権の実行手続
強制執行手続

強制執行手続は、勝訴判決を得たり相手方との間で裁判上の和解が成立したにもかかわらず相手方がお金を支払ってくれなかったり、明渡しをしてくれなかったりする場合に判決などの債務名義を得た人(債権者)の申立てに基づいて相手方(債務者)に対する請求権を、裁判所が強制的に実現する手続です。


担保権の実行手続
担保権の実行手続は、債権者が債務者の財産について抵当権などの担保権を有しているときに、これを実行して当該財産から満足を得る手続です。

この場合,判決などの債務名義は不要であり担保権が登記されている登記簿謄本などが提出されれば、裁判所は手続を開始することとなります。

なお、担保権の実行手続も,強制執行手続と比較すると債務名義を必要とするか否かの違いはありますが、それ以外の手続はほぼ同じです。

(**)
債務名義
債務名義とは強制執行によって実現されることが予定される請求権の存在・範囲・債権者・債務者を表示した公の文書のことです。 強制執行を行うには、この債務名義が必要です。

債務名義の例としては以下のものがあります。
  1. 確定判決
    「100万円を支払え。」又は「○○の建物を明け渡せ。」などと命じている判決で上級の裁判所によって取り消される余地のなくなった判決を言います。
  2. 仮執行宣言付判決
    仮執行の宣言(「この判決は仮に執行することができる。」などという判決主文)が付された給付判決は確定しなくても執行することができます。
  3. 仮執行宣言付支払督促
  4. 和解調書・調停調書
参照 裁判所の民事執行手続