2011年4月15日金曜日

増加競売(滌除)

増加競売とは
増加競売、別名、てき除と言います。

増加競売・滌除は、現在は廃止された制度です。 平成16年3月までは、この増加競売は存在しておりました。 なぜ、この増加競売(てきじょ)が廃止されたのか。 この増加競売は、抵当権者にとっては非常に不利な制度だったからです。

現在は存在しませんが、平成16年3月以前には、増加競売専門の不動産業者さんが多数存在しておりました。 競売で業者が大儲けをしていた時代です。 この増加競売で自社ビルを2棟・3棟建てた業者さん達の話題が頻繁に有った時代です。

滌除・増加競売とは
住宅ローンの残りが5,000万円で、現況の時価相場2,000万円の不動産が有ると仮定します。

当然、ローンが残っているので金融機関によっては、この不動産には抵当権が設定されております。 この抵当権をきれいにするために滌除します。

まず、所有者の親戚・友人・親兄弟の誰かに抵当権付のまま、例えば1万円にて売却して不動産登記します。 その人が抵当権者(銀行)に対して不動産の時価相当額を考慮して2,000万円支払うと通知します。

通知を受けた抵当権者はその2,000万円で納得するか、競売申し立てるしかありません。 納得すれば2,000万円を受け取って抵当権抹消となります。

納得せずに競売申し立ても可能ですが、その不動産が2,000万円の1割増の2,200万円以上で落札されなければ申し立てた抵当権者が2,200万円で買わなくてはいけません。 これを増価競売といいます。

(なお滌除後に無担保で残る3,000万円(あるいは2,800万円)のローン残債は返済していかねければなりません。) しかし、多くの場合、自己破産をしてしまったり、返済から逃げ回ったりしていたようです。

2011年4月10日日曜日

占有者 とは

占有者とは
その場所について直接の支配と監督権を持つ者で、他人の立ち入りについて許可・禁止できる立場にある者をいう。

マンションなどに当てはめると、区分所有者以外で、専有部分の貸与を受けた賃借人を言いますが、区分所有者と同居している親族も含まれます。

落札した物件に占有者がいる場合、「裁判所がその占有を賃借権として認めた場合等」の一定の条件を除いては、買受人は『引渡命令~強制執行』に より占有の排除を申立てることができます。

・ 賃借権がある場合を除いて、占有者の明渡しは引渡命令に基づく強制執行と任意明渡しを並行して行います。

・ 任意明渡交渉の場合は開札日の翌月末を目安として交渉し、一般的に退去費用は出ても約30万円(引越代と転居先の敷金程度)です。

・ 任意交渉で不可能な場合は強制執行の手続きに移ります。 執行費用は約30万円~50万円が目安ですが、残金納付して所有権移転後 でなければ執行申立できません。 強制執行の断行(明渡し)まで申立から2~3ヶ月掛かります。

・ 実際に強制執行により明渡しをするケースは非常に少ないのが現状です。なぜなら占有者にとって強制執行はお金を貰えるどころか、逆に後から執行費用を請求される等、 何のメリットも無いからです。

・ 執行費用と同額程度の負担で迅速に明渡しが受けれるなら、任意交渉の方がメリットが有ると捉える買受人も居ますが、一切の退去費用は出さないという 買受人も居ます。

・ 競売落札後、占有する側にとっても強制執行されるくらいなら、お金を貰って任意での明渡しということを期待するかとは思いますが交渉は程々に妥協すべきでしょう。

2011年4月4日月曜日

占有権原とは

占有権原とは不動産に所有者以外の占有者がいる場合に、その占有者の占有の根拠となる権利の内容です。

競売不動産は交換価値と使用価値が分離する場合があるので使用価値(占有権)が発生しますが、原則、落札者(買受人)が代金納付後は 競売不動産を使用する事が出来る。


第3者の占有者がいる例:
不法占有者が居住している場合:
不法占有者とは、競売落札した物件の代金納付後も、その物件を占有していると裁判所から引渡命令が出される人々をいう。

元の所有者・債務者は買受人の代金納付後の占有権原は認められない。
両親・子供・配偶者など債務者(所有者)と同視される占有者(占有権原が認められない)。
債務者(所有者)と生計を一つにする占有者。
債務法人の役員及びその家族(同族会社)
債務者(所有者)に依頼された占有の補助者・やくざ等(悪質な競売妨害とみなされる)。
占有のない賃借権は権原を認められない。(執行官が調査の時に占有していなければだめ)。
権原のない者からの転借人は認められない。
債権回収目的の占有は認められない。
通常の用法によらない占有は不法占有となる。(住宅なのに倉庫として利用している)
使用借権は解約か本訴で明渡しが請求できる。
そしてこれら占有者に速やかに立ち退いてもらうには明渡訴訟と明渡命令です。
明渡訴訟は、買受人が民事訴訟を提起して、明渡しを認めた債務名義(法廷の文書)によって、正式に明渡しを要求するものです。 費用は自費で、 判決までに6ヶ月など、とても時間がかかります。 しかし引渡命令は、代金納付後6ヶ月以内に申し立て、かつ占有者が、買受人に対抗できない権原に より占有しているものであれば、簡易・迅速(1ヶ月以内)に債務名義を取得することができます。

そのため、最近の引渡命令を利用するようです。 この命令により、占有者に立ち退きを要求したり、さらには強制執行で無理やり追い出します。

2011年4月3日日曜日

次順位買受け申出とは

次順位買受け申出とは開札期日において、最高価買受申出人が売却代金を支払わなかった場合に次順位買受申出資格者が買受人となることを執行官に申し出ることをいいます。

申出をするには ;
(1)最高価買受申出人に次ぐ高額の申出であること。
(2)申出額が買受可能価額以上であること。
(3)申出額が最高価買受申出額から買受申出保証額を控除した金額以上であることが必要となります。

トップで落札をしたのは良いが、残額代金の納付ができない人がごく稀におります。
その場合は、改めて期間を定めて、再度入札を行うことになります。 しかし、先の入札の 際、二番目の買受け価額を設定した人が、この次順位の買受けの申出をすれば、改めて、入札を設定すること無く、一定の条件で、その人に売却の決定がなされま す。

すなわち、第2順位の入札者は、以下の条件(時期、金額)を満たすと、次順位買受けの申出をすることができます。

1)
開札期日の終了までに申出をすること。
2)
第2順位の金額が「買受可能価額」以上で、かつ、最高価の入札金額から「買受申出の保証金」を差し引いた額以上であること。 なお、第2順位の買受申出について、売却許否の決定がされるのは、最高価の入札者が期限までに残代金を納付せず資格を失った場合に限られます。 また、この 時点まで保証金は返還されません。