2010年12月25日土曜日

求償権とは

求償権 - 民法第459条
保証人が主たる債務者に代わって貸金等を支払った(返済した)場合には、支払った分は後に、主たる債務者に対して返してくれるように請求できる権利です。

例えば、連帯債務者の一人が債務を弁済した場合に他の連帯債務者に対して、あるいは保証人が債務を弁済した場合に主たる債務者に対して、返還を請求することです。

期限の利益を喪失すると、一般的に債権者(金融機関)は保証会社に対して代位弁済を請求することになります。  そして、その後、代位弁済をしたローン保証会社が求償権を楯に債務者に返済を求めてくることになるのです。

例えば住宅ローンの返済が出来なくなり、そして期限の利益を喪失した時点で、債権者は保証会社に対して代位弁済を請求し、保証会社は債務者に代わって ローン残を債権者に支払います。

ここで債権・担保物権などが求償権の範囲でローン保証会社に移転することになります。 移転した債権・担保物権により、保証会社は債務者に対して一括弁済を請求することになります。

2010年12月23日木曜日

給料差押

給料差押えとは給料の差押は「債権に対する強制執行」の代表例の一つです。 一般に債権に対する強制執行は、債権者が裁判所に債権の差押命令を申し立てる ことによって開始されます。

債権の差押命令は第三債務者に送達された時点で効力を生ずるために、通常は先に第三債務者に送達されます。 つまり給料の差押命令は債務者 ではなく先に債務者の勤務先に送られてしまうことになります。 債務者に対する事前の予告・通知義務などは一切ないので借金を抱えていることを勤務先 に知られたくない人にとっては大変な脅威となるとおもいます。

債権者は、差押命令が債務者に送達されてから1週間経過すると第三債務者に対しその債権を取り立てることができ、給料の差押があった場合はこれに より給料は債権者に持って行かれてしまうことになります。  ただし、給料の手取りの内、生活に必要な分は差押えが禁止されています。

差押禁止額
手取りの4分の3、または21万円、この内少ない額が差押え禁止となっています(退職手当も4分の3が差押禁止となっています)。 つまり差押られる額は 税金や共済金を引いた手取り給料の4分の1です。 但し手取り給料が28万円以上の場合は21万円を引いた全額が差押の対象となり給料は21万円 が支給される事ととなります。

例えば、手取り10万円の場合は2万5,000円が差押え額となります。
手取り20万円の場合には5万円が差押え額となります。
手取り30万円の場合には9万円が差押え額となります。

複数の債権者が差押しても、この額以上は差押られないことになっております。 債権者達がこの範囲内で分け合う事ととなっております。

給料が安くて差押え禁止額が低く生活困難の場合には、裁判所に差押え禁止額の増額を申立ることが出来ます。 また最低限の生活は憲法で保証さ れているので極端に収入が少なく差押えにより生活困難なら差押停止の訴訟を申立ることが出来ます。

役員報酬は全額が差押の対象となります。
年金.恩給.失業保険 等は差押え禁止となっております。


執行認諾文言付き公正証書を作成することによって、給与差し押さえなどの強制執行をすることができるようになります。  強制執行認諾条項とは、「約束をした金銭を支払わなければ強制執行されてもかまいません。」という条項です。

債務者の給与などの財産に対して、強制執行ができるのは、 "債務名義" と呼ばれる文書があるためで、上記の公正証書は、この債務名義のひとつに該当します。  そして、強制執行認諾約款付きの公正証書である「債務名義」に「執行文」を付与してもらい、債務者に債務名義の「送達」という手続きをすることによって強制執行が可能となります。


給料差押のことを『給差(きゅうさし)』と略して使う業者さんもおります。

2010年12月20日月曜日

強制執行

強制執行とは

先ず、債務名義という言葉の意味を把握してください。
債務名義とは、強制執行によって実現されることが予定される請求権の存在・範囲・債権者・債務者を表示した公の文書のことです。

強制執行とは - 裁判で勝訴判決を得たり、相手方との間で裁判上の和解が成立したにもかかわらず相手方がお金を支払ってくれなかったり、明渡しをしてくれなかったりする場合に、判決などの債務名義を得た人(債権者)の申立てに基づいて相手方(債務者)に対する請求権を裁判所が強制的に実現する手続です。

強制執行には執行文が必要となります:
強制執行手続は執行機関としての 機能を持つ地方裁判所(執行裁判所)によって行われます。 つまり、判決を下した裁判所(判決裁判所) とは全く異なる裁判所(執行裁判所)によって強制執行手続が行われるということになります。

しかし、執行裁判所は判決内容に関して正確な情報を有しないため、強制執行を開始するにあたって、 「その判決に従って間違いなく強制執行を行ってもよいのだ」という証明が必要となります。  そしてこの証明にあたるものが "執行文" です。

送達証明書:
強制執行を開始するための主な要件として「債務名義」「執行文」の他に、「送達証明書」が必要となります。

強制執行を開始するためには、債務者に執行の内容を知らせるため、『債務名義又は確定により債務名義と なるべき裁判の正本又は謄本』が、あらかじめ、又は強制執行と同時に、債務者に送達されて いなければなりません。そしてこれらの送達がなされたことを証明するものが「送達証明書」です。

2010年12月19日日曜日

強制競売とは

強制競売とはお金を貸した人が、借りた人が返済の約束に従わず、お金を返済しないために、貸したお金を回収を図るために財産価値の有る不動産を裁判所に強制的に現金化してもらうための競売のことです。

不動産に関わる競売には大きく分けて二種類あります。
ひとつは「担保不動産競売」、もうひとつは「強制競売」です。

強制競売というのは、例えば当初、無担保で借りていた借金が返済できなくなり、返済方法などで債権者と折り合いがつかなくなってしまったような場合、債権者は裁判所に提訴して借金があることを確定させ、判決をとります(このことを債務名義を取ると言います)。

この債務名義を基に債務者に不動産などの財産が有った場合には、これを換価(競売による現金化)することによって回収できると判断すると、競 売にかけてきます。

担保不動産競売は住宅ローンの担保として対象不動産についている抵当権を原因として執行されるもので、債権者の申立てによって裁判所が妥当と判断すれば競売が開始されます。

少し前まで、任意競売などとも呼ばれていましたが、現在はこの担保不動産競売が一般的になっています。

競売にかけられた場合、事件として扱われ事件番号という整理番号のようなものがそれぞれにつけられます。[平成○○年(ケ)第×××号]というようなものです。

この(ケ)というのは担保不動産競売で、(ヌ)というのが強制競売のことです。
担保を差し出していない無担保での借り入れだから、家まで取られることはないだろうと思い込んでしまっていると非常に危険です。 強制競売の通知がとどいたら債権者とはよく話し合うことを強くお勧めします。

2010年12月17日金曜日

共同入札

共同入札とは
一つの財産を複数の者で共有する目的で入札することをいいます。
物件が不動産の場合は、共同入札ができます。 また、公売財産が不動産(土地や建物など)である場合、共同入札することができます。

共同入札の場合の所有権
必ず共同入札者全員が持分を持つことになります。
共同入札における所有権の持分は、参加申し込み時に行政機関へ提出する書類に記載した内容のとおりになります。持分の内訳は、共同入札者が任意で決めることが可能です。

共同入札許可書
共同して入札をする場合、あらかじめ書面をもって、共同入札人間の関係及び持ち分を明らかにして、執行官に申し出て許可が必要です。 裁判所からの許可がなければ入札できません。

2010年12月16日木曜日

組戻し

組戻しとは簡単にいうとやり直しとか仕切り直しのことです。

銀行での組戻しとは

銀行で口座番号などを間違えて振込をしてしまった、その振り込んだお金を自分の口座に戻す作業のことも ”組戻し” と言います。 この場合の手数料は結構高いです。

競売での組戻しとは
入札時に競売手続の取下・取消などがあった場合には、以後入札を受け付けてもらえません。 にもかかわらず取下・取消な どを知らずに、入札保証金を振込んだ場合には、「組み戻し」という手続を経て、保証金を返還してもらうことになります。 具体的には、振込金返還請求書を裁判所に提出します。

代位弁済後の組戻し
<strong>保証会社が代位弁済を行った場合のみに適用されます</strong>
代位弁済が行われたら、6ヶ月以内に個人版民事再生の申立てをすることができます。

また、代位弁済が行われてから、6ヶ月以内であれば巻き戻し(組戻し)という方法により、また金融機関が債権者に戻ります。 個人版民事再生の手続きで、住宅資金特別条項を定めることができます。

個人版民事再生の手続きを取って、自宅を守ることができる場合も有ります。
代位弁済が行われてから6ヶ月を経過してしまうと、個人版民事再生の申立てに あたって、住宅資金特別条項を定めることができません。

住宅資金特別条項を定めることができないということは、つまりは 個人版民事再生の手続を行ったとしても、自宅を守ることが出来なくなってしまいます。

では、なぜ巻き戻しを認めるのか?
住宅ローンの保証会社が、代位弁済(保証債務)を行い抵当権を実行し短期間に回収する事業形態と、長期間の回収期間を要する再生手続がそぐわないために、住宅ローンの保証会社を保護するために設けられた制度だからなのです。

2010年12月13日月曜日

公正証書

公正証書とは公正証書は、公証人が公証人法・民法などの法律に従って作成する公文書です。 そして、公正証書は公文書ですから高い証明力を保持します。

公正証書には、遺言公正証書、任意後見契約公正証書、金銭の貸借に関する契約や土地・建物などの賃貸借に関する公正証書、離婚に伴う慰謝料・養育 費の支払に関する公正証書並びに事実実験に関する公正証書などがあります。

・公正証書は極めて強力な証拠力があり、裁判になっても立証の苦労がいりません。

・公正証書の原本は、公証役場に保存されますから、紛失・偽造・変造などの心配がありません。

・公正証書に強制執行ができる旨の条項を入れることにより、相手方が金銭債務を履行しないときは、訴訟を起こさなくても、 不動産・動産・給料などの財産を差し押さえる強制執行ができ、債権を取り立てる事ができます。また、債務者が倒産した場合など、 公正証書によって簡単に配当要求できます。

・法律で公正証書により契約することになっているもの(事業用借地権設定契約、任意後見契約など)は、公正証書でないと、契約の効力が認められません。

賃貸借契約書を公正証書にする場合も有ります!
賃貸借契約書を公正証書にする場合があります。 これは家賃滞納が続いたり、家賃を滞納する恐れが大である場合です。 また部屋の貸し主が過去に家賃滞納で苦労させられたような経験をもっている場合です。

賃貸契約書および連帯保証の契約書を公正証書にしておけば万が一家賃を滞納すれば強制執行できます。 ただし、強制執行できるのは金銭に限りますので、家屋の明渡しについての強制執行は出来ないことになっています。

任意売却の後、競売の後の返済約定書が公正証書の場合もあります!
任意売却で不動産を処分した後とか、競売で処理が終了した後に、残債務の返済約定書を公正証書で求める債権者・サービサーも居ます。

したがいまして債務者が 月々の支払を怠ると、裁判所の判決などを待たないで直ちに強制執行手続きに移ることができます。

すなわち、金銭の貸借や養育費の支払など金銭の 支払を内容とする契約の場合、債務者が支払をしないときには、裁判を起して裁判所の判決等を得なければ強制執行をすることができませんが、公正証書を 作成しておけば、すぐ、執行手続きに入ることができることになります。

公正証書は公正役場または弁護士が作ります
弁護士を通して、公正証書を作成する場合が多いのですが、個人で直接公証役場に行って作成を依頼することも出来ます。

公証役場は各地(全国で約300)にあります。
日本公証人連合会
電話: 03-3502-8050

2010年12月10日金曜日

きんしょうけいやく - 金消契約 - 金銭消費貸借契約

きんしょうけいやく[金消契約]

きんしょうけいやく = 金消契約とは、金銭消費貸借契約を短く縮めている言葉です。

金銭消費貸借契約とは

お金を借りる借り主が、貸し主から金銭を借り入れてその金銭を消費し、その借入額と同額の金銭(利息付の場合は利息分も含めて)を貸し主に返済 するという契約のことです。

金融機関から住宅ローンとかお金を借りる時に交わす契約がこれにあたります。
消費貸借契約は、民法で「金銭その他の物を借り受け、後にこれと同種、同等、同量の物を返還する契約」と定められおります。

借受物を消費すること が可能であり、返還の際にはまったく同じものを返還する必要がない点で賃貸借契約などと異なります。

金銭消費貸借契約が成立するためには、借主が金銭を貸主に返還することを約束し、貸主から金銭その他の代替物を受け取ることが必要であり、「押し貸し」な どのように一方的に金銭の提供を受けただけでは成立しません。

金銭消費貸借契約を通称、金消契約(きんしょう契約)とか金消(きんしょう)と言っております。

普通、金消契約はお金を借りる金融機関の一室で関係者全員と司法書士さんなどが集まって行われます。

2010年12月5日日曜日

期間入札とは

期間入札とは競売での期間入札とは、地方裁判所が一定の "入札期間" を定め、その期間内に入札を受け付け、別に設定された開札期日に開札を行って最高価買受申出人を決定する方法です。

所有する不動産を担保に住宅ローンや事業融資を借り入れしていた場合で、長期にわたる滞納や返済不能が発生した時に、民事執行法に基づき、その担保不動産 を売却して債券回収を行う、いわゆる "抵当権の実行" という法的制度を "期間入札" といいます。 そして、その際に売却される不動産のことを競売不動産または競売物件といいます。

参考 - 国税庁公売への参加の方法

期間入札公告書
期間入札公告書とは
- 入札したい競売物件の明細が記載されている書類一式のことです。
売却基準額、買受可能価額、買受申出の保証額、固定資産税・都市計画税の年額、期間入札期間などが記載しています。

特別売却とは、期間入札によって競売にかけられながら、落札されなかった物件を競争入札によらないで、希望者に先着順で売却する制度です。

現在は、開札期日の翌日から数日~数ヶ月間提示されています。 それでも売れ残った物件は、再評価(売却基準価格を下げて)されて、再競売にかけられます。

期間入札通知書この通知を受け取ってしまわれた方々へ任意売却を提案いたします。

この期間入札通知書を受け取られた方々の場合、余り時間は残されてはおりません。
この通知を受け取った方の不動産の流通性が高ければ、限られた時間内で競売よりも早く任意売却で売却できる可能性は残されています。

しかし、時間的に非常に厳しい状況であることは確かです。
この通知書を受け取っているのなら、とにかく大急ぎで行動を起こしてください!

2010年12月4日土曜日

期限の利益と期限の利益の喪失

期限の利益の喪失 - 民法137条
期限の利益の喪失すると、『残っている借金またはローンの全額一括返済を求められる』ことになります。 

保証人が付いている借金で、期限の利益をうしなうと、当然のことながら保証人へ借金の残額一括払いの請求が行くことになります。

通常、ローンなどの契約条項には『期限の利益を喪失した場合は残金を全額一括払いする』との条項が明記されております。 従って期限の利益を喪失すると残金全額一括返済の請求が 来る事になります。

そもそも期限の利益 -民法136条とは
期限の利益とは、期限が付されていることによって、お金を借りた当事者が受ける利益のことです。
期限の利益とは、『返済期日前の支払い請求を拒否出来る』、 『分割での返済を要求出来る』、『保証人へ請求しないよう要求し保証人を保護する権利がある』。

言い方を変えて言えば『決められた返済日までは支払わなくても良い』、 『分割払いで返済をおこなうことができる』、 『延滞してない限りは保証人へは請求できない』となります。

期限の利益の放棄 - 民法136条 2項
この期限の利益というのは、放棄することができます。
ただし、この期限の利益の放棄は、これによって相手方の利益を害することはできません。

例えば、銀河系銀行が鈴木さんにお金を貸したとします。
銀行からお金の融資を受ける際には契約を交わします。 この際の契約書のことを金銭消費貸借といいます。

そして鈴木さんの借入金の返済は、毎月26日で2年間で返済という期限が設定されていた とします。

鈴木さんはこの期限の利益を放棄して、今月末に借金全額を返してもいいわけです。 銀河系銀行としても早く資金の回収ができます。

ただ、今月末に全額返済されると、銀河系銀行としては一つ困る点が出てきます。
それは、2年間入ってくるはずの利息が取れないことです。 そこで、鈴木さん今月末で全額を返済し ても良いが、そのときは相手方の利益を害することはできないので、2年間分の利息を付けて返済しなければならないのです。


期限の利益の喪失を受けるタイミング

借金・ローン・融資を受けたお金の返済



返済を滞納



支払いの督促・催告



期限の利益の喪失の予告通知 (出さない債権者も居ます)



期限の利益の喪失



代位弁済



競売を申立られる

2010年12月2日木曜日

件外建物

件外建物とは
今回の競売には含まれない建物という意味です。

土地が競売となっているにも関わらず、その土地に対して借地権(法定地上権)を持った第三者の建物が存在してますよという意味です。

法定地上権とは
1) 土地または建物の一方あるいは双方に抵当権が設定されたこと。
2) 抵当権設定時に、土地上に建物が存在すること。
3) 抵当権設定時に、土地および建物の所有者が同一であること。
4) 競売によって土地と建物が別々の所有者に帰属すること。

つまり件外建物とは
1) 抵当権設定 "後" に建てられた建物。
2) 抵当権設定 "前" から存在する建物のうち、土地所有者と建物所有者が別人であるもの。 のいずれかということになります。

一括競売
しかし、件外建物も一括競売できるようになりました。
現行法では、抵当権設定後にその設定者が抵当地に建物を築造した場合に限り、その建物を土地と一括して競売 にかけることを認めています。 抵当権設定後に建物が築造された場合には、第三者が築造した場合にも、その建物所有者が抵当権者に対抗可の権利 を有する場合を除き、土地の抵当権者が建物も一括して競売することができることとなりました。

件外建物は競売妨害の温床競売妨害を目的として、プレハブ事務所や倉庫を簡易に建築したり(いわゆる一夜城といわれるもの)、それに賃借人などがいれば余計にややこしい。  また逆に、築年数が新しすぎて収去するのがもったいないケースもある。築2年の一戸建などが建っていた日には、収去訴訟というのも憚られる。

一夜城
戦国時代に、豊臣秀吉が小田原の北条氏を攻めた際、小田原城の近くに一夜にして城を築き、北条側の戦意を喪失させたと伝えられています。 不動産競売における件外建物は現代の一夜城のようなものです。