2010年9月30日木曜日

現況調査

現況調査とは
現況調査報告書とは

裁判所の執行官は、執行裁判所の現況調査命令によって、不動産の形状、占有状況、占有者の権原等を調査し、現況調査報告書を作成し、執行裁判所に提出します。

執行官が、実際に競売物件を見た上で、その物件に関する権利関係や占有状況、形状などについて調査した内容を記載した書類です。 現況調査報告書には、土地の現況地目、建物の種類・構造等不動産の現在の状況のほか、不動産を占有している者の氏名やその者が占有する権原を有しているかどうかなどが記載されており、不動産の写真等が添付されています。

この現況調査報告書は競売の3点セットのうちの1つです。 執行官が競売不動産の現況を調査し作成された調査報告書。 対象不動産の占有状況等が記されており、占有者が存在する場合、その占有開始時期により法的権利が変化するので確認が必要となります。

一般的にはこの現況調査が入って約5ヶ月後位には競売の入札となります。
この現況調査で執行官が家を調査に来た時点では、まだ任意売却への申請は可能です。 ですが、時間的には余り余裕は有りません!

2010年9月27日月曜日

代金納付期限通知

代金納付期限通知とは
裁判所は最高価買受人に、残代金を納付する期限を通知します。
納付期限は売却許可を決定した日から約1ヵ月ほどです。

最高価買受人は、指定された日までに残代金を納付しなければなりません。 そして、代金を納付すると所有権が移転します。 その後の移転登記手続きは裁判所の方で行います。

売却許可確定後、郵送で以下の書類が裁判所より送られてきます。
* 代金納付期限通知書
* 保管金提出書
* (売却代金の残代金の)振込依頼書

必要書類と登録免許税納付の用意
@ 物件所在地の役所に「代金納付期限通知書」を持参し評価証明書の交付を申請。 そして、その場で交付をしてもらう(身分証明書も忘れずに持参)。

@ 裁判所の担当書記官に、評価証明書を郵送またはファックス。 ついでに代金納付予定日を連絡。

@ 担当書記官より「売却代金・登録免許税等納付書がFAXで送られて来ます。

売却代金の残金と登録免許税を振り込む
裁判所から送られてきた「振込依頼書」と税務署から貰ってきた「納付書」を使用し、銀行で「売却代金の残代金」と「登録免許税」の振込を済ませる。

「代金納付期限通知書」「保管金提出書」「登記事項証明書」「固定資産税評価証明書」「住民票」と、上記の振込依頼書・納付書の控え(金融機関の受領印)、切手、入札で使用した印鑑を持って裁判所に行く。

代金納付をする
裁判所の会計係に「保管金提出書」と売却代金の残代金の振込依頼書の控えを提出。

着金の確認をしてもらい、「保管金受領証書」を発行してもらう。

民事部の担当書記官に、「代金納付期限通知書」「登記事項証明書」「固定資産税評価証明書」「住民票」「保管金受領証書」「切手」を提出。

書類を確認してもらい、「売却代金・登録免許税等納付書」に署名・捺印。

書記官の受領印済みの「売却代金・登録免許税等納付書」を貰う。

代金納付完了です
同時に物件の所有権が移転します。 登記が完了すると裁判所から「登記識別情報」が送られてきます。

2010年9月26日日曜日

代位弁済

代位弁済とは

簡単に言うと、代位とは他人に替わってという意味です。 そして、弁済とは支払うという意味です。

保証人とか保証会社等がローンとかお金を借りた本人に代わって債権者に対し借金を支払うことです。 支払った保証人または保証会社は主債務者に対して支払った分を請求できることになります(このことを求償権といいます)。
普通、銀行などの金融機関から住宅ローンの借り入れをする時は、保証会社との間で「保証委託契約」を締結する事が多いと思います。 住宅ローンを組んだ本人が返済不能な状態になった場合には、保証会社が本人に代わって金融機関に返済することになります。 このことを代位弁済といいます。

代位弁済が行われると、住宅ローンの債権者が金融機関から保証会社に変わり、以後は保証会社との支払の交渉をすることになります。 が、この時点で債務者は期限の利益を失っておりますので、保証会社より残金の一括返済を求められることになります。

そして、任意売却をする場合には、住宅ローンの保証会社が代位弁済を行った後に販売を開始することになります。 それまでに販売することは可能ですが、販売を開始して、買主が決まってしまった場合などは、代位弁済を受けるまで待つことになります。
代位弁済になる期間は、金融機関により様々ですが、住宅ローンを延滞して、約3ヶ月~6ヶ月で代位弁済が行われます。 任意で問題の不動産が売却できるようになるのも、競売になるのも、この代位弁済後に行われることになります。 必ず、代位弁済が行われる前に通知が届きますので、通知が届く前に対応できるのであれば対応しましょう。

代位弁済があってから、6ヶ月以内に個人版民事再生の申立てをすることができます。
代位弁済が行われてから6ヶ月以内であれば、代位弁済が行われていても巻き戻し(組戻し)というシステムにより、金融機関が債権者に戻り、個人版民事再生の手続きで住宅資金特別条項を定めることができます。 個人版民事再生の手続きをとる場合は、住宅を手放す必要はありません。

代位弁済が行われてから6ヶ月を経過してしまうと、個人版民事再生の申立てにあたって住宅資金特別条項を定めることができません。 住宅資金特別条項を定めることができないということは、つまりは、個人版民事再生の手続を行ったとしても、住宅を守ることはできません。

2010年9月23日木曜日

長期賃貸借

長期賃貸借とは

長期賃貸借とは、最先順位の抵当権等の担保設定登記の前から対抗要件を備えた賃貸借のことをいいます。

長期賃貸借は非常に強い効力を持っています
買受人はいかなる法的手段をもっても占有者を追い出すことは出来ません。 追い出すことが出来る可能性としては、占有者が長期にわたり賃料を滞納するなどの、賃貸借関係における信頼関係を破壊するような事情がある場合くらいです。

そういったことがなければ訴訟でも追い出すことはできません。ですから、居住目的で物件を手に入れたいという方は入札するべきではないでしょう。 あとでトラブルになることが考えられます。 物件明細書には「期限後の更新は買受け人にできる」と記載されます。 必ず事前にチェックしましょう。

2010年9月21日火曜日

遅延損害金

遅延損害金とは

支払い期限に遅延した場合に、返済されなかったことにより、相手方に対し損害賠償として支払わなくてはならない金利のことです。 当事者間で定めなかった場合には商事法定利率の年6%で計算し、定めていた場合でも14.6%を超える部分は消費者契約法で無効とされています。

金銭貸借契約を結ぶ際の契約項目には必ず「返済期日」があります。
この返済期日の約束を守らなかった場合、借主の義務を果たせなかったとして『債務不履行』となり、損害賠償を負うことになります。 借金返済で債務不履行があった場合の損害賠償のことを一般的に『遅延損害金』とよんでいます。

利息制限法による遅延損害金の上限 :
   ■借金が10万円未満の場合
        年率 20% x 1.46 = 29.2%
   ■借金が10万円以上100万円未満の場合
        年率 18% x 1.46 = 26.28%
   ■借金が100万円以上の場合
        年率 15% x 1.46 = 21.9%

通常、遅延損害金は「約低金利の○○倍の遅延損害金を支払う」と定められます。
利息制限法は、利息と同様に遅延損害金にも制限を設けており、制限利率の1.46倍までとしています。 これを超える遅延損害金の定めは、超える部分については無効となります。

遅延損害金の計算方法 :
遅延損害金 = 借入残高 x 0.292 ÷ 365日 x 遅れた日数
遅延損害金 = 借入残高 x 0.263 ÷ 365日 x 遅れた日数
遅延損害金 = 借入残高 x 0.219 ÷ 365日 x 遅れた日数

例えば、2,000万円のローンが残っていると仮定します。
そして、30日間滞納したとします。 これらの条件をを上記の計算式当てはめると滞納1ヵ月で約36万円もの遅延損害金が発生してしまいます。

さて、何が言いたいのかともうしますと。
任意売却後の引越代についてです。
例えば、債権者より引越代を50万円を認めてもらえたとします。 そして、依頼された不動産物件の販売を行っているのですが、この依頼主様が販売に協力をしてくださらないのです。 物件に興味を持ってくれて中を見せて欲しいというリクエストが全然叶えられないのです。 『今週の週末はダメ。 来週もダメ。 3週間後にして欲しい。』こんな感じでことごとく購入希望者の方々を潰されてしまいます。 物件が売れなければ、返済時期も後にずれる事になるわけですので、当然、売れて決済が済むまでの遅延損害金が発生します。

ご本人が損害金をお支払いできないのであれば、当然、債権者は引越代からその損害金を穴埋めして来ます。

任意売却後の引越代の為にも、物件の販売にはご協力をされた方がよろしいかと考えます。

遅延損害金を競売に当てはめてみると :
競売にかかると落札されて不動産の名義変更が済むまでは不動産の持ち主は変わりません。

競売は任意売却に比べ長く、そこに住んでいられるので競売の方が有利だと説くコンサルタントさんも居ますが、これは "自己破産をするのなら" という注釈が付くことを忘れないでください。 自己破産を考えに入れていないのなら絶対的に任意売却で不良債権化したマイホームを処分された方が有利です。

2010年9月18日土曜日

競売 - 物件明細書

物件明細書とは

競売三点セットの中の一つの書類。
その不動産を買い受けた時に引き継ぐ権利と法定地上権の成立の有無(土地または、建物のみの場合)、建物売却の場合の敷地利用権、占有者に関する事項、占有者に対する引渡命令が出せるかどうかの裁判所の見解などが記載されています。

物件明細書・現況調査報告書・不動産評価書の確認は、地方裁判所の物件明細書閲覧室で自由に閲覧することができます。

2010年9月17日金曜日

競売不動産の物件目録

競売不動産の物件目録

これは売却対象となる不動産の目録が記載されています。
この記載内容により、土地と建物が売り出されているのか、建物だけなのか、売り出される権利は全部の所有権なのか、持分のみなのか等が分かります。

土地が一筆と建物が一棟だけの場合は、土地を物件(1)、建物を物件(2)と表示するのが一般的です。 マンションの場合は、マンション1棟自体の規模や、専有部分、専有面積、敷地の持分割合などが記してあります。

物件について、「持分○分の○」と記載されている場合には、当該物件については共有持分(他の人と分け合って所有する物の割合的な権利)のみの売却であり、買受人は当然に物件を使用収益できるとは限りません。

また、注意しなければならないことが2点存在するかと思います。
一つ目は、「物件目録」に記されている面積や地目などは公簿上のものであって、(現況 )で囲まれたものが、実際の現況の情報であるということです。

2つ目は、「物件目録」とは、あくまでも売却対象となっている物件の目録であって、借地権付建物などの敷地の情報は、記されていないという点です。

物件目録は、競売三点セットの中の一つです

2010年9月12日日曜日

ブラックリスト

ブラックリストとは

個人信用情報という金融機関で収集しているデータが有ります。
このデータには、誰がいつ、何処からお金を借りたか、その借りたお金の返済状況は、完済したのか滞納しているのかとか。 また住宅ローンを組んだり、銀行から融資を受けたり、消費者金融からキャッシングしたりすると、この情報は記録されます。

借りたお金を普通に返済し、滞りなく完済すれば別に何の問題もありません。 この場合にはただの「個人情報」です。 しかし、債務者(借主)側の返済過程に何らかの支障をきたした場合、その旨が信用情報に特記事項として記録されます。 この特記事項を『異動(事故)情報』と言いますが、 この異動情報が信用情報に記録されている状態を『ブラックリストに登録された』と表現します。

事故情報をブラックリストと言うのか言わないのかの違いだけです。

ブラックリスト(事故情報に記録される人)になる人
・ 3ヶ月以上の延滞している人
・ 自己破産した人
・ 特定調停をした人
・ 個人再生手続きをした人
・ 任意整理をした人
・ 任意売却をした人
・ 競売にかかった人
・ 過払い金返還請求をした人

ブラックリストの記載期間
本来の支払い予定日、住宅ローン・クレジットカードなら毎月決まった銀行引き落とし日から3ヶ月間支払いが遅れた時点で事故扱いとなり、事故情報に登録されます。 そして、事故情報は登録されてから5年間は消えません。

この期間、どんなに審査が甘いクレジットカード会社に申込んでも審査は通りません。 当然、住宅ローンも通りません。

事故情報(ブラックリスト)に載って5年が経過するとキレイに抹消され、再びクレジットカードを作れ・住宅ローンが組めるようになります。

自己破産情報は最低7年間~10年間は保存されるようです
自己破産、失踪宣告、民事再生手続きを受けたユーザーは7年間消えません。もちろん事故情報と同様の扱いになります。 特に消費者金融では自己破産を重く見る傾向にあるため、全情連とテラネットでは10年間は消えません。

住宅ローンは絶対に通らないのか?
事故情報に記載ががあれば99.99%審査は通りませんので住宅ローンの融資を受けることはできません。 言い換えれば、ローンを使っての住宅購入・マンション購入は出来ません。

ときどき、住宅ローンの仮審査が通って、本審査で落ちる方が居ます。 これは個人情報の審査の深度の違いからくるのです。 仮審査は文字通り大まかな審査ですが本審査はかなり深くなで個人情報を審査されることになるのです。

妻がブラックリストで住宅ローンが通るのか?
個人信用情報はあくまでも個人のもですので、家族や兄弟、親戚のクレジットに影響することはありません。 しかし、その奥様を連帯債務者または連帯保証人にすることはできません。

ブラックリストの消し方!
ブラックリストの消し方という言い方にはチョット語弊があります。
言い換えれば『個人信用情報を訂正する方法』という言い方の方が正しいかと思います。 ただし、過度のブラックは消せません。 先ずは、弁護士さんにご相談をなさるべきでしょう。 弁護士さんにも得意分野・不得意分野がありますので、何人かの先生方をあたってみてください。

2010年9月11日土曜日

遺産相続放棄と親の生命保険

遺産相続と生命保険

親が死んで財産の相続放棄をしても、生命保険金はもらえます。
法定相続人が受取人となっていた生命保険金は、被相続人が残した財産ではないのです。

また、原則として遺産分割協議の対象にもならないので相続放棄によって親の借金を免除された人でも、受取人になっていれば生命保険金は自動的に受け取ることができます。

2010年9月9日木曜日

売却許可決定

売却許可決定とは

開札日の2日後に、最高価買受申出人に対し裁判所が売却許可を決定します。
買受申出人に欠格事由があるか、売却手続に誤りがある場合以外、執行抗告がなければ、売却許可は1週間後に確定致します。

最高価で入札したとしても、ただちに買受人と認められるわけではありません。
開札後、裁判所は、入札手続等が適法に行われたかどうかを調査し、売却許可又は不許可の言渡しをします。その期日が売却許可決定期日です。

売却許可決定又は売却不許可決定に対しては、1週間の不服申立(執行抗告)期間があります。
不服申立が無く、1週間が経過することによって、売却許可決定又は売却不許可決定が確定します。 売却許可決定が確定した場合は、代金納付の手続きに入ります。

売却不許可決定が確定した場合は、最高価買受申出人としての地位を失い、それと同時に入札保証金は返還されます。 そしてその物件は、改めて期間入札等の売却手続きに付されることになります。

売却許可決定が出たかどうかは、各地の地方裁判所、民事執行事務室前の掲示板に決定正本が貼り出されますので確認してください。

2010年9月5日日曜日

売却基準価額

売却基準価額とは

不動産競売物件について評価人(不動産鑑定士)が評価し、その評価に基づいて適正であるかを検討したうえで定められた競売不動産の価額です。

抵当権者から競売の申し立てを受けた裁判所は、その不動産の価格を調査します。
不当に低い価格で取引されると、抵当権者の利益を侵害することになりますので、なるべく公正な市場価格で売買して欲しいというのが競売制度の基本です。

しかし、競売の買受人には、特有のリスクがありますので、その分を減額して、裁判所は価格を公示します。この公示された価格が売却基準価額です。

そして、この売却基準価額の2割低い価格が、落札できる最低の価格になります。

競売の買受人には下記のようなリスクが有ります:
* 不動産所有者の協力が得られないこと
* 事前に不動産の内覧ができないこと
* 現況有姿の取引になるので、物件に瑕疵(かし、欠陥の意)が有っても自己責任になる
* 不良占有者がいる可能性がある

裁判所は、評価書を、単に土地建物の鑑定評価だけではなく、現況調査報告書、不動産登記簿謄本等とともに審査し、競売不動産に関する事実関係(占有者の有無等)及び権利関係(地上権、賃借権の有無等)が的確に把握されているか、競売の特殊性が加味されているか、評価の方法及び計算過程が適正であるかを検討したうえで価額を定めることになります。

2010年9月3日金曜日

競売 - 売却決定期日

売却決定期日とは

執行裁判所が最高価買受申出人(買受申出人)に対し、不動産の売却を許可するか否かを審査し、その結果について決定を下すという審査を行う期日です。

通常、裁判所書記官は、売却決定期日を開札期日から1週間以内の日に指定します。
執行裁判所は、売却決定期日において最高価買受申出人等の買受けの申出に対する許否を明らかにするため、これまでに実施された一連の手続が適正に行われたか否かについて職権で調査を行い、民事執行法71条に定める売却不許可事由に該当する場合を除き、通常は売却許可決定という裁判を行います。

売却許可決定が下されたときは、その内容を裁判所の掲示場に公告します。

買受人が配当を受けられるべき債権者である場合は、売却代金から買受人が配当等を受けるべき額を差し引いた残額だけを配当期日に納付することも認められています。

差引納付の申出は売却許可決定が確定するまでに申し出なければなりません。