2011年3月10日木曜日

自力救済

自力救済とは
自力救済というのは、司法手続きによらずに、自力でその権利を実現することをいいます。

ただし、自力による権利の行使が広く認められてしまうと、社会秩序が混乱するおそれがありますので、国家権力が確立された現在では、私権の実現は、司法手続きによって行うのが原則となります。

自力救済の禁止
土地の不法占拠や物が盗まれた場合であっても、裁判手続を経ずして自ら不法占拠者を追い出したり、物を取り戻すことはできません。これを自力救済の禁止といいます。

また、自分のものがある日盗まれてしまい、その後にある人が、その盗まれたものを持っているのを発見した場合。自分の物なのだから、力ずくで取り返してもいいですよね?ところがそれは禁止されているのです。

「いかなる原因によろうとある人がある物を事実上支配している場合に、他人が私力によって干渉・妨害・撹乱することを禁止」するのが、自力救済の禁止です。盗んだ人を擁護するような話ですが、社会の平穏な秩序を維持するために必要であるとされています。

なお、刑法では自分の権利の保全のために官憲の力を借りる暇が無い場合には、自ら自力救済をすることを認めています。緊急性の程度やそのためにとった手段を総合的に判断して、社会的に相当だと認められる場合には違法とはならないそうです。

賃貸マンションの部屋の鍵交換は自力救済
東京地方裁判所 平成16年6月2日判決(確定)
賃貸借契約解除後の賃貸人による建物の鍵の交換が違法な自力救済として不法行為に該当するとされた事案(但し損害賠償請求については立証なしとして棄却)。

競売と自力救済
競売で不動産を落札。 しかし、占有者が出て行かない場合、占有者の隙を見て建物の鍵を交換、残留物等をを処分することは出来ません。

残置物を占有者の承諾無く処分する行為は自力救済に当たり、後々、損害賠償請求をされるおそれがあります。

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