2011年3月31日木曜日

競売事件番号

競売事件番号
裁判所は競売が申立られると、それを事件として扱います。
そして、それら申立を競売事件として整理番号を付けて管理することになります。 その整理番号のことを事件番号といいます。

担保不動産競売事件と強制競売事件と形式競売事件

担保競売とは、年号○○年(ヶ)第○○○号 となっている事件番号です。

自宅を購入する際、銀行などの金融機関から住宅ローンの融資をうけての購入の場合、必ず「抵当権」を設定します。

抵当権とは、担保権の一種になり、(ケ)で始まる不動産競売事件のほとんどは、この担保競売です。

強制競売
とは、年号○○年(ヌ)第○○○号 となっている事件番号です。

裁判所の判決や裁判所での和解又は調停で決まった競売事件。公証人が制作した公正証書の内容を実現するためなどの競売事件です。

どちらにしても、借金を返済できなくなったことが原因です。所有者の意思に関係なく、売却される点が共通しており、通常の取引・売買とは大きく異なる点です。

形式競売事件とは、債務の清算ではなく、遺産分割、共有物分割、破産手続上の換価など不動産を売却してお金に換える必要があるときに、競売手続をその手段として利用するものです。 事件の性質に応じ(ヌ)又は(ケ)と表示されます。

事件番号の種類
民事裁判記録符号
簡易裁判所
イ  和解事件
ロ  督促事件
ハ  通常訴訟事件
手ハ 手形訴訟事件及び小切手訴訟事件
ハツ 飛躍上告受理事件
ニ  再審事件
へ  公示催告事件
ト  保全命令事件
借  借地非訟事件
ノ  民事一般調停事件
ユ  宅地建物調停事件
メ  商事調停事件
交  交通調停事件
公  公害等調停事件
ア  過料事件
キ  共助事件
サ  民事雑事件
地方裁判所
ワ  通常訴訟事件
手ワ 手形訴訟事件及び小切手訴訟事件
フオ 飛躍上告受理事件
カ  再審事件
ヨ  保全命令事件
タ  人事訴訟事件
レ  控訴事件
レツ 上告受理事件
ソ  抗告事件
ソラ 抗告受理事件
チ  民事非訟事件
ヒ  商事非訟事件
借チ 借地非訟事件
シ  罹災都市借地借家臨時処理事件及び接収不動産に関する借地借家臨時処理事件
セ  農事調停事件
ス  鉱害調停事件
リ  事情届に基づいて執行裁判所が実施する配当等手続事件
ヌ  不動産、船舶、航空機、自動車及び建設機械に対する強制執行事件
ル  債権及びその他の財産権に対する強制執行事件
ケ  不動産、船舶、航空機、自動車及び建設機械を目的とする担保権の実行としての競売等事件
ナ  債権及びその他の財産権を目的とする担保権の実行及び行使事件
ヲ  執行雑事件
企  企業担保権実行事件
フ  破産事件
コ  和議事件
ミ  会社更生事件
船  船舶所有者等責任制限事件
油  油濁損害賠償責任制限事件
ホ  過料事件
エ  共助事件
モ  民事雑事件
人  人身保護事件
人モ 人身保護雑事件
高等裁判所
ネ  控訴事件
ネオ 上告受理事件
ラ  抗告事件
ラク 抗告受理事件
ム  再審事件
ツ  上告事件
ツチ 特別上告受理事件
ウ  民事雑事件
人ナ 人身保護事件
人ウ 人身保護雑事件
最高裁判所
オ  上告事件
テ  特別上告事件
ク  抗告事件
ヤ  再審事件
マ  民事雑事件
刑事裁判記録符号
簡易裁判所
い  略式事件
ろ  公判請求事件
は  証人尋問請求事件
に  証拠保全請求事件
ほ  再審請求事件
へ  共助事件
と  刑事補償請求事件
ち  訴訟費用免除申立事件
り  交通事件即決裁判手続請求事件
ぬ  費用補償請求事件
る  雑事件
地方裁判所
わ  公判請求事件
か  証人尋間請求事件
よ  証拠保全請求事件
た  再審請求事件
れ  共助事件
そ  刑事補償請求事件
つ  起訴強制事件
ね  訴訟費用免除申立事件
な  費用補償請求事件
む  雑事件
高等裁判所
う  控訴事件
の  第一審事件
お  再審請求事件
く  抗告事件
や  費用補償請求事件
ま  刑事補償請求事件
け  決定に対する異議申立事件
ふ  訴訟費用免除申立事件
て  雑事件
最高裁判所
あ  上告事件
さ  非常上告事件
き  再審請求事件
ゆ  上告受理申立事件
め  移送許可申立事件
み  判決訂正申立事件
し  特別抗告事件
ひ  費用補償請求事件
も  刑事補償請求事件
せ  訴訟費用免除申立事件
す  雑事件
没収の裁判の取消事件記録符号
下級裁判所
収い 簡易裁判所
収ろ 地方裁判所
収は 家庭裁判所
高等裁判所
収に 第一審事件
収ほ 控訴事件
最高裁判所
収へ 第一審事件
収と 上告事件
行政事件記録符号
簡易裁判所
行ア 共助事件
行イ 雑事件
地方裁判所
行ウ 訴訟事件
行エ 飛躍上告受理事件及び上告受理事件
行オ 再審事件
行カ 抗告受理事件
行キ 共助事件
行ク 雑事件
高等裁判所
行ケ 訴訟事件(第一審)
行コ 控訴事件
行サ 上告受理事件
行シ 特別上告受理事件
行ス 抗告事件
行セ 抗告受理事件
行ソ 再審事件
行タ 雑事件
最高裁判所
行チ 訴訟事件 第一審
行ツ 上告事件
行テ 特別上告事件
行ト 抗告事件
行ナ 再審事件
行ニ 雑事件
その他の記録符号
家庭事件記録符号
家  家事審判事件
家イ 家事調停事件
家ハ 家事共助事件
家ロ 家事雑事件
少  少年保護事件
少ハ 準少年保護事件
少イ 成人刑事事件
少ニ 少年審判等共助事件
小ロ 少年審判雑事件
少ホ 成人刑事雑事件
法廷等の秩序維持に関する法律違反事件記録符号
秩い 簡易裁判所
秩ろ 地方裁判所
秩は 家庭裁判所
高等裁判所
秩に 第一審事件
秩は 抗告事件
秩へ 異議申立事件
最高裁判所
秩と 第一審事件
秩ち 特別抗告事
裁判官の分限事件記録符号
分  第一審事件
分ク 抗告事件

2011年3月26日土曜日

住宅金融支援機構

住宅金融支援機構
設立 : 平成19年4月1日
目的 : 一般の金融機関による住宅の建設等に必要な資金の融通を支援するための貸付債権の譲受け等の業務を行うとともに、国民の住生活を取り巻く環境の変化に対応 した良質な住宅の建設等に必要な資金の調達等に関する情報の提供その他の援助の業務を行うほか、一般の金融機関による融通を補完するための災害復興建築物 の建設等に必要な資金の貸付けの業務を行うことにより、住宅の建設等に必要な資金の円滑かつ効率的な融通を図り、もって国民生活の安定と社会福祉の増進に 寄与します。

資本金 : 6,976.55億円(平成22年度末見込み※、全額政府出資)


 
平成21年度第1次補正予算の執行見直しに伴う2,300億円の国庫 返納及び平成22年度当初予算を反映したもの
店舗 : 本店 〒112-8570 東京都文京区後楽1-4-10
支店 全国の主要都市に11店舗

常務内容 : 住宅金融支援機構は、民間金融機関による長期固定金利の住宅ローンの供給を支援する証券化支援業務を業務の柱とするほか、民間住宅ローンの円滑な供給を促 進する住宅融資保険業務や住宅関連の情報提供の業務、政策上重要で民間金融機関では対応が困難な融資業務などを行います。 (住宅金融支援機構のサイトから抜粋)

利用条件および融資対象
  • 一般財形貯蓄・財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄のいずれかを1年以上続け、申込日前2年以内に財形貯蓄の預入れを行い、かつ、申込日における残高が50万円以上ある方
  • 勤務先から住宅手当・利子補給・社内融資などの援助(負担軽減措置)が受けられる方
    (リフォームの場合は必要ありません。)
  • ご自分で所有及び居住する住宅を建設される方、購入される方、リフォームされる方
  • 年収に占めるすべてのお借入れ※の年間合計返済額の割合(=総返済負担額)が次の基準を満たす方

    400万円未満 = 30%以下
    400万円以上 = 35%以上
  • 申込日現在、70歳未満の方(リフォーム融資は79歳未満の方)
    (親子リレー返済を利用される方は、70歳(リフォーム融資は79歳)以上でも申込めます。)
    ※  連帯債務者(収入合算、親子リレー返済、共有などのため)をたてることもできます。
    ※  連帯保証人は、必要ありません。(参照: 住宅金融支援機構のご利用条件・融資対象)
フラット35
フラット35は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携してみなさまに提供している長期固定金利住宅ローンです。
長期固定金利住宅ローンは、資金のお受取り時に返済終了までの金利・ご返済額が確定する住宅ローンですので、長期にわたるライフプランを立てやすくなります。
フラット35は、「金利変動がない安心」で大切なマイホームの取得とその後のライフプランをサポートします。(フラット35のページから)

フラット35のメリット
最長35年の長期固定金利住宅ローン
「フラット35」は最長35年の長期固定金利住宅ローンです。資金のお受け取り時に返済終了までの金利・返済額が確定します。

保証料無し・繰上げ返済手数料ゼロ
通常の住宅ローンで必要となる保証料がかかりません。保証人も必要ありません。 また、ご返済中に繰上返済や返済条件の変更を行う際も手数料は一切いただきません。

機構の基準による住まい作りを応援
住宅の断熱・耐久性などについて、住宅金融支援機構において独自の技術基準を定め、物件検査を受けていただいています。

併せて新築住宅では、建築基準法に基づく検査済証が交付されていることを確認しています。物件検査に当たっては、物件検査手数料が必要で、お客様のご負担となります。物件検査手数料は、適合証明機関によって異なります。

返済中も安心サポート
多様な返済方法変更のメニューを揃え、返済についてお悩みをお持ちのお客様に、親身になって返済相談に応じ、お客様のご事情に合った返済方法の変更をご提案しております。

また、お客様に万一のことがあった場合に備えて、機構団体信用生命保険、さらに3大疾病保障付機構団体信用生命保険もご用意しています。

フラット35が利用できる人の条件
  • お申し込み時の年齢が満70歳未満の方(親子リレー返済をご利用される場合は、満70歳以上の方もお申込みいただけます。)
  • 日本国籍の方、永住許可を受けている方または特別永住者の方
  • 年収に占めるすべてのお借り入れ(フラット35を含みます。)の年間合計返済額の割合(=総返済負担率)が、次の基準を満たしている方(収入を合算することもできます。)
       ・ 400万円未満 = 30%以下
・ 400万円以上 = 35%以上
  • ※ すべてのお借り入れとは、フラット35のほか、フラット35以外の住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローン(クレジットカードによるキャッシングや商品の分割払いによる購入を含みます。)等のお借り入れをいいます。(収入合算者の分を含みます)
  • お借り入れの対象となる住宅及びその敷地を共有する場合は、お申し込みご本人が共有持分を持つこと等の要件があります。
(注) 年収については、原則として、お申し込み年度の前年(平成22年度においては平成21年1月~12月)の収入で審査します。 参考: フラット35のご利用条件

2011年3月25日金曜日

所有権移転手続とは

所有権移転手続とは代金納付手続が終わったら、裁判所書記官から管轄法務局に対し、次の登記嘱託手続をすることになります。

(1)
前所有者から買受人に対する所有権移転登記(物上保証人の方が買い受けた場合は不要です。)

(2)
差押登記や抵当権等の設定登記抹消登記。 上記の登記を嘱託する際には、登録免許税法の定めにより手数料(収入印紙又は納付書による 納付)を納付しなければなりません。

相続による所有権移転の場合、以前の所有者は被相続人すなわちすでに死亡した人であるため、共同で申請することは不可能です。 そのため相続 の場合は相続人の単独申請によって所有権移転登記ができると決められています。 なお、申請手続きは必ずしも本人がしなければならないわけではな く、代理人による登記申請もすることができます。 申請先は、不動産の所在地を管轄する法務局となります。

不動産登記に必要な書類
・ 委任状(代理人による場合)
・ 登記申請書
・ 売買契約書
・ 売主の登記済権利証
・ 売主の印鑑証明書(作成後3ヶ月以内のもの)
・ 買主の住民票
・ 固定資産税評価証明書
・ 登録免許税相当額の現金
・ 司法書士報酬(司法書士に委任する場合)

万が一、権利証を紛失してしまい、権利証を用意できない場合には「保証書」という書類で代替することも可能です。 司法書士に依頼する場合、これ らの場合には余分の費用が必要となります。

2011年3月20日日曜日

自己破産をすると官報に記載されます

自己破産をすると官報に載ることになります。
政府が発行する重要な刊行物で毎日発行され全国に販売所が有ります。
官報は、法律、政令、条約等の公布をはじめとして、国の機関としての諸報告や資料を公表する「国の広報紙」「国民の公告紙」としての使命を持っています。 さらに、法令の規定に基づく各種の公告を掲載するなど、国が発行する機関紙として極めて重要な役割を果たしています。(参考: 独立行政法人国立印刷局)

官報は "本紙", "号外", ".政府調達" が有り、自己破産民事再生法の公示は号外の公告の欄に掲載されるます。
自己破産の場合には2回、官報に掲載されます。 民事再生は3回官報に掲載されることになります。

(1)破産申立
(2)破産審問
(3)破産決定(財産が無ければ同時廃止)
→(4)官報公告
(5)免責審尋
(6)免責決定
→(7)官報公告

自己破産の場合、破産決定2週間後と免責決定2週間後の官報に掲載されます。
掲載後2週間何処からも意義や抗告(不服)が無ければ確定となります。 債権者以外の一般人も異議・抗告が可能です。 例えば、『確たる証拠を持って、隣の人がが自己破産するようだが、彼は毎日パチンコ屋や飲み屋に通っているぞ・・』なんて裁判所へ申出られた ら免責決定が取消しとなり得るます。

自己破産などで官報に掲載されると、その情報を闇金業者が利用して大量のダイレクトメールが郵送されてくることになります。

ちなみに、官報に自己破産したことが載ったとしても、自己破産した事実が知り合いの誰かに分かってしまう確率は限りなくゼロに近いといっても過言ではありません。  もし、どうしても心配でしたら、官報がどのようなものか、参考までに自分の目で確かめてみては。 独立行政法人国立印刷局が提供しているインターネット版『官報』

官報に記載される内容

▼破産手続き開始決定が出たあと
※ ここでは、同時廃止事件(個人の方が特に財産をお持ちでなく自己破産する場合はほとんどが同時廃止となります。)の場合の記載をご紹介しています。

事件番号 平成○年(フ)第○○号

住所 → 自己破産される方のご住所

債務者 □□□□→ 自己破産される方のお名前

1 決定年月日
平成○年○月○日午後○時


2 主文
債務者について破産手続を開始する。
本件破産手続きを廃止する。

3 理由の要旨
破産財団をもって破産手続きの費用を支弁するのに不足する。

4 免責意見申述期間
平成○年○月○日まで

裁判所名 → 自己破産を申し立てた裁判所名


▼免責決定が下されたあと
事件番号 平成○年(フ)第○○号

住所 → 自己破産された方のご住所

破産者 □□□□→ 自己破産された方のお名前

1 決定年月日
平成○年○月○日

2 主文
破産者について免責を許可する

裁判所名 → 自己破産を申し立てた裁判所名

なお、官報には全国の自己破産をされる方の情報が掲載されるわけですから、官報の同じページには、20名近くの方の情報が記載されることになります。

2011年3月17日木曜日

自己破産は恥ずかしくはない!

自己破産とは
多重債務者で借金地獄に陥った方の生活再建のための最終的手段です。  債権者または債務者が裁判所に申し立てを行います。

債務者自身が申し立てた場合を自己破産といいます。
破産は裁判所が関与し、債務者の全ての財産を換価し、 債権者に公平に 配当し、そのうえで免責を得られれば、税金などの一部の債務を除き、借金から開放される清算型の法的債務整理の一種です。

しかし全ての財産 を投げ出さなければならないので、不動産を持っている人は、これを手放さなくてはなりません。

また、債権者は公平に扱わなければなりませんので 知り合いから借りたお金だけ返すという訳にはいきません。

司法書士、弁護士に依頼をして手続きをすれば家族を含め友人や会社の同僚などに知られることもありませんし、頭痛の種の取り立ての電話や各債権者への返済も ストップされます。

自己破産は考えているほどの不利益があるわけではありません。 支障があるとすれば5年~10年程度の間はローンや クレジットの利用ができなくなったり、不動産を買うための新規融資が受けられなくなったりはします。 しかし戸籍に載ることもありませんし、今後の就職に 支障をきたすこともありません。

不動産とか大きな財産は売却しなければなりません!
自己破産は借金整理・債務整理の最終手段ですので当然、必要最低限の生活用品を除く全ての財産は強制的に換価(現金化)されて、債権者に平等に 分配されますので、マイホームのように非常に財産価値が高いものは、当然に換価されることになります。

具体的には破産管財人によって任意売却 されるか競売にかけられることになりますが、直ぐに家を追い出されるというわけでは無く、新しい買主が現れるまでは従来どおりに住み続けることができます。  現実には、破産を申立ててから不動産が売却・競売されるまでに半年以上かかることも珍しくありませんので、その間であれば追い出されることはないといえます。

任意売却は自己破産の前が良いのか後が良いのか?
任意売却業者的見解で言うならば、自己破産の前に任意売却もしくは競売をした方が、債務者にとっては有利です。 不動産という高価な資産を整理して おいた方が、費用的に安くなりますし、手続き的には楽になります。

同時廃止
通常なら破産開始決定と同時に裁判所は破産管財人を選任して、破産者の財産を調査、換価、処分し、各債権者に債権額に応じて配当しますが、破産者に換価(現金化)す るほどの財産が無いことが明らかな場合は、破産管財人にかける費用や手間を省き、手続きをより迅速、かつ破産者の負担を軽くするために、この同時廃止の制 度が有るのです。

同時廃止となれば当然、債権者には配当は一切出ず(財産がないので仕方ありません)、引き続き「免責許可の決定」の手続きに入ります。

しかし、法人または、個人事業者の場合は原則、同時廃止になることは少なく、破産管財人が選任され、管財事件となります。

免責決定
免責とは一種の免罪符のようなものです。
自己破産を申し立てたのが個人である場合、自己破産宣告を受けただけでは、債務の支払いを免れることが出来ません。

自己破産手続の後に行われる自己破産免責手続において自己破産免責決定をもらう必要があります。 自己破産免責手続は、自己破産手続に引き続いてなされますが、自己破産手続とは別の手続で、自己破産者が債権者に対する債務の返済いから免れるための手続です

自己破産の費用
・ご自分で行う場合 ・・ 約2万円 ~ 5万円(実費)
・司法書士の場合 ・・ 約15万円 ~ 30万円
・弁護士の場合 ・・ 約20万円 ~ 50万円
詳しくは最寄りの裁判所、司法書士、弁護士事務所にお訊ねください。

自己破産で失うもの、得るもの

社会的信用は完全に失います。 企業によっては昇進の際に、個人情報を会社側に提示させる場合も有るようです。 個人信用調査で事故の情報が記載されていると出世は絶望的となることもあり得ます。

しかし借金をチャラに出来るメリットは大きいと思います。
競売でも任意売却でも返済しきれないローンが出てしまいます。 自己破産をすると、その残ったローンの返済から逃れることができるのです。

自己破産は諸刃の刃です。 十分に検討をして活用してください。

2011年3月11日金曜日

執行抗告とは

執行抗告
執行抗告とは裁判所の執行処分に対する不服申立てのことです。

売却の許可または不許可の決定に対する執行抗告
民事執行法第74条
売却の許可又は不許可の決定に対しては、その決定により自己の権利が害されることを主張するときに限り、執行抗告をすることができる。


 売却許可決定に対する執行抗告は、第71条各号に掲げる事由があること又は売却許可決定の手続に重大な誤りがあることを理由としなければならない。 
 
 民事訴訟法第338条第1項 各号に掲げる事由は、前二項の規定にかかわらず、売却の許可又は不許可の決定に対する執行抗告の理由とすることができる。 
 
 抗告裁判所は、必要があると認めるときは、抗告人の相手方を定めることができる。 
 
 売却の許可又は不許可の決定は、確定しなければその効力を生じない。

競売と執行抗告
競売の申立を受けた人が、その競売を不服として異議申し立ての執行抗告はできません。 しかし、競売落札後の売却許可決定に対して執行抗告により争うことができきます。

競売と執行異議(民事執行法第11条)
申立てられた競売に対して、どうしても納得が行かないという場合には、裁判所にたいして執行異議を申立てることはできます。 ただし、競売を中止させるには申立人の違法性を指摘しなければならないので非常に難しいと考えられます。
 
強制競売の申し立てを却下する決定に対しては、執行抗告ができることになっています。

不動産引渡しに対する執行抗告(民事執行法第83条)
引渡し命令はこれが確定すると債務名義となり、債務者もしくはその不動産を占有している人に大きな影響を与えることになるから、引渡命令正本が送達された日の翌日から1週間以内であれば執行抗告という不服申立ができます。

執行抗告が提起された場合は、引渡命令が確定しないことになりますので、その抗告事件の判断がなされるまでその後の強制執行手続はできないことになります。

この場合の執行抗告は競売そのものに対しての抗告とはなりません。
民事執行法第71条(売却不許可決定)
執行裁判所は、次に掲げる事由があると認めるときは、売却不許可決定をしなければならない。

1.強制競売の手続の開始又は続行をすべきでないこと。
2.最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格若しくは能力を有しないこと又はその代理人がその権限を有しないこと。
3.最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格を有しない者の計算において買受けの申出をした者であること。
4.最高価買受申出人、その代理人又は自己の計算において最高価買受申出人に買受けの申出をさせた者が次のいずれかに該当すること。
   イ その強制競売の手続において第65条第1号に規定する行為をした者
   ロ その強制競売の手続において、代金の納付をしなかつた者又は自己の計算においてその者に買受けの申出をさせたことがある者
   ハ 第65条第2号又は第3号に掲げる者
5.第75条第1項の規定による売却の不許可の申出があること。
6.売却基準価額若しくは一括売却の決定、物件明細書の作成又はこれらの手続に重大な誤りがあること。
7.売却の手続に重大な誤りがあること。


執行抗告は落札されてしまった元の不動産の所有者や占有者が少しでも長く住んでいたい時や、立退料の交渉の道具に使ったりするときなどに行われるようです。 また、この執行抗告を元の不動産所有者などから請け負う業者さんもおります。


2011年3月10日木曜日

自力救済

自力救済とは
自力救済というのは、司法手続きによらずに、自力でその権利を実現することをいいます。

ただし、自力による権利の行使が広く認められてしまうと、社会秩序が混乱するおそれがありますので、国家権力が確立された現在では、私権の実現は、司法手続きによって行うのが原則となります。

自力救済の禁止
土地の不法占拠や物が盗まれた場合であっても、裁判手続を経ずして自ら不法占拠者を追い出したり、物を取り戻すことはできません。これを自力救済の禁止といいます。

また、自分のものがある日盗まれてしまい、その後にある人が、その盗まれたものを持っているのを発見した場合。自分の物なのだから、力ずくで取り返してもいいですよね?ところがそれは禁止されているのです。

「いかなる原因によろうとある人がある物を事実上支配している場合に、他人が私力によって干渉・妨害・撹乱することを禁止」するのが、自力救済の禁止です。盗んだ人を擁護するような話ですが、社会の平穏な秩序を維持するために必要であるとされています。

なお、刑法では自分の権利の保全のために官憲の力を借りる暇が無い場合には、自ら自力救済をすることを認めています。緊急性の程度やそのためにとった手段を総合的に判断して、社会的に相当だと認められる場合には違法とはならないそうです。

賃貸マンションの部屋の鍵交換は自力救済
東京地方裁判所 平成16年6月2日判決(確定)
賃貸借契約解除後の賃貸人による建物の鍵の交換が違法な自力救済として不法行為に該当するとされた事案(但し損害賠償請求については立証なしとして棄却)。

競売と自力救済
競売で不動産を落札。 しかし、占有者が出て行かない場合、占有者の隙を見て建物の鍵を交換、残留物等をを処分することは出来ません。

残置物を占有者の承諾無く処分する行為は自力救済に当たり、後々、損害賠償請求をされるおそれがあります。

2011年3月8日火曜日

執行官 - 裁判所

執行官 - 裁判所法第62条および執行官法1条
執行官は、各地方裁判所に所属する裁判所職員で裁判の執行などの事務を行います。

裁判の執行とは,裁判で出された結論が任意に実現されない場合に、強制的に実現することです。


例えば家の明渡しを命じられた人が明け渡さない場合に、その家から明渡義務を負う人(債務者)を排除した上で、明渡しを受ける権利を有する人(債権者)に引き渡したり借金を返さない人(債務者)の宝石、貴金属等の動産や手形、小切手等の有価証券(裏書の禁止されているものを除く。)を差し押さえて売却し、その代金を貸主(債権者)に返済するお金に充てるといった職務を行っています。

また、不動産の(強制)競売が申し立てられた場合に、不動産の状況等を調査するなどの事務を担当しています。

この他、民事訴訟の裁判関係文書を当事者等に届けるといったことも執行官の職務の一つです。


執行官は、職務を行う際に抵抗を受ける場合には、その抵抗を排除するために警察の援助を求めることができるなど強い権限が与えられており、その権限を自らの判断と責任において行使しますが、職務の執行については、地方裁判所の監督を受けます。

また、執行官は、各地方裁判所によって任命される裁判所の職員ですが国から給与を受けるのではなく、事件の当事者が納めた手数料を収入としています。 参考 : 裁判所のサイトから転載

執行官法
第一条: 職務 執行官は、次の事務を取り扱う
一項 :
民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)、民事執行法 (昭和五十四年法律第四号)、民事保全法 (平成元年法律第九十一号)その他の法令において執行官が取り扱うべきものとされている事務。

二項 :
民事執行法 の規定による民事執行、民事保全法 の規定による保全執行その他私法上の権利を実現し又は保全するための手続を構成する物の保管、管理、換価その他の行為に係る事務で、裁判において執行官が取り扱うべきものとされたもの。

第二条: 事務の処理
一項 :

執行官は、申立てによりその事務を取り扱う。 ただし、裁判所が、その係属する事件の手続の一部として、直接に執行官に取り扱わせる事務については、この限りでない。

二項 :
執行官の事務の分配は、所属の地方裁判所が定める。 ただし、前条第二号の事務のうち裁判において特定の執行官が取り扱うべきものとされた事務は、その執行官が取り扱う。

第三条: 排斥 - 執行官は、次の各号に掲げる場合には、職務の執行から除斥される
一項 :
執行官又はその配偶者が、当事者(刑事事件及び少年の保護事件における被害者を含む。 以下同じ。)であるとき、又は当事者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。

二項 :
執行官が当事者の四親等内の血族、三親等内の姻族又は同居の親族であるとき。

三項 :
執行官が当事者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。

四項 :
執行官がその取り扱うべき事務について当事者の代理人であるとき。

第四条: 職務執行区域
執行官は、他の法令に別段の定めがある場合を除き、所属の地方裁判所の管轄区域内においてその職務を行なう。

第五条: 不服の申立て
申立てにより取り扱う事務についての執行官の処分(手数料及び費用の額の計算を含む。) 又はその遅怠に対する不服の申立てについては、民事執行法 (これを準用する場合を含む。)に特別の定めがあるものを除くほか、同法第十一条第一項 後段の規定による執行異議の例による。

第六条: 金銭の保管
執行官が職務の執行として差し押え、又は交付を受けた金銭は、これを受け取るべき者に直ちに交付し、又は供託するものを除き、最高裁判所の規則で定めるところにより、執行官の所属の地方裁判所が保管する。

第七条: 手数料及び費用
執行官は、その職務の執行につき、手数料を受け、及び職務の執行に要する費用の支払又は償還を受ける。

第八条: 手数料を受ける場合

詳細はe-Gov(イーガブ)は総務省が運営する総合的な行政ポータルサイトを参考にしてください。

第九条: 手数料の額
一項 :
前条第一項第一号から第二十一号までの事務に係る手数料の額は、事務の内容、当事者の受ける利益、物価の状況、一般賃金事情その他一切の事情を考慮して、最高裁判所の規則で定める。

二項 :
前条第一項第二十二号の事務に係る手数料の額は、裁判において当該事務を執行官が取り扱うべきものとした裁判所が定める。

第十条: 費用の種類 - 執行官が支払又は償還を受ける費用は、次のとおりとする。
一項 :
1)  送付に要する費用及び電信電話料
2)  公告の費用
3)  民事執行法第7条 (これを準用する場合を含む。)に規定する立会人の日当及び旅費
4)  技術者及び労務者の手当
5)  民事執行法第136条 又は第138条 (これらを準用し、又はその例による場合を含む。)に規定する事務を行うための費用
6)  物の運搬、保管、監守及び保存の費用
7)  果実収穫の費用
8)  官庁その他の公の団体から証明を受ける費用
9)  物の現況を記録するために撮影する写真の費用
10)  民事執行法第161条第5項 (これを準用し、又はその例による場合を含む。)に規定する証書の作成の費用
11) 執行官の旅費及び宿泊料
12)  前各号の費用以外の執行官の職務の執行に要する費用で、最高裁判所の規則で定めるもの

二項 :
前項第3号に規定する日当及び旅費は、最高裁判所の規則で定める場合に執行官が支給するこれらの費用とする。


三項 :
執行官の旅費及び宿泊料は、執行官が、その勤務する裁判所から一キロメートル以上の地においてその職務を行なう場合、及び執行官がその職務を行なうために宿泊を要する場合におけるこれらの費用とする。

第十一条: 費用の額
一項 :
前条第一項第三号及び第10号から第12号までの費用の額は、最高裁判所の規則で定めるところによる。

二項 :
前項に規定する費用を除くほか、費用の額は、実費の額による。

第十二条: 支払義務者
執行官の手数料及び職務の執行に要する費用は、執行官が申立てにより取り扱う事務については申立人が、裁判所が直接に執行官に取り扱わせる事務については裁判所が、支払い又は償還する。 ただし、法律に別段の定めがあるときは、その定めによる。

第十五条: 予納

一項 :
執行官は、申立てにより取り扱う事務については、最高裁判所の規則で定めるところにより、申立人に手数料及び職務の執行に要する費用の概算額を予納させることができる。 ただし、申立人が訴訟上の救助を受けた者であるときは、この限りでない。

二項 :
前項の概算額の予納は、執行官の所属の地方裁判所にするものとする。

三項 :
申立人が第一項の概算額を予納しないときは、執行官は、申立てを却下することができる。

四項 :
申立人は、予納した金額の限度において、手数料及び費用の支払又は償還の義務を免れる。この場合においては、執行官は、予納を受けた裁判所から手数料及び費用の支払又は償還を受ける。

執行官法参考e-Gov(イーガブ)は総務省が運営する総合的な行政ポータルサイト

2011年3月4日金曜日

残債

残債とは残債務のことです。
残っている債務・借金のことです。

競売で不動産を売却されたのだから一切の借金・残債も帳消しになる。 任意売却で自宅を売却した後には一切のローン・残債がチャラになると誤解をしている人たちが居ます。

競売が終わった後にも、任意売却が終わった後でも、債権者からは残債の全額支払いを請求されるのが一般的です。 そして、その債権が債権回収会社のサービサーに譲渡された場合でも、債権額を請求され続けることになります。

しかし、競売後 / 任意売却後は無担保債権となってしまいますので、債権者が取りうる回収方法は限られて来ます。 給与所得者であればせいぜいのところ、給料の差押えか預金の差押さえぐらいでしょう。

競売で残る債務・任意売却で残る債務の違い
競売も任意売却も債務が残る点では同じですが、残債の処理については大きく異なります。

残債の返済額をいかに抑えるかは、いかに債権者と話し合いのできる余地を、しかも債務者が主導権を持ってできるか、ということが重要になってきます。

競売は裁判所が主導権を握って一方的に事を進めます。 その間に競売後の残債の返済の話合いの場などは存在しません。 一般的には競売後に債権者から『●●さん、今後、毎月々●●万円を以下の口座へ入金してください』と通知されるだけです。

一方、任意売却は不動産が売却されるまでに、何度も何度も債権者と任意売却後の返済計画の話合いが行われるのです。 普通、任意売却後の返済額は "5,000円~60,000円" 位の間で落ち着きます。

自己破産と残債
競売後自己破産をする。 任意売却後自己破産をする。
自己破産をすると、これら残債との戦いは無くなります。 しかし、自己破産をするにも15万円~30万円前後の弁護士費用がかかります。