2011年3月11日金曜日

執行抗告とは

執行抗告
執行抗告とは裁判所の執行処分に対する不服申立てのことです。

売却の許可または不許可の決定に対する執行抗告
民事執行法第74条
売却の許可又は不許可の決定に対しては、その決定により自己の権利が害されることを主張するときに限り、執行抗告をすることができる。


 売却許可決定に対する執行抗告は、第71条各号に掲げる事由があること又は売却許可決定の手続に重大な誤りがあることを理由としなければならない。 
 
 民事訴訟法第338条第1項 各号に掲げる事由は、前二項の規定にかかわらず、売却の許可又は不許可の決定に対する執行抗告の理由とすることができる。 
 
 抗告裁判所は、必要があると認めるときは、抗告人の相手方を定めることができる。 
 
 売却の許可又は不許可の決定は、確定しなければその効力を生じない。

競売と執行抗告
競売の申立を受けた人が、その競売を不服として異議申し立ての執行抗告はできません。 しかし、競売落札後の売却許可決定に対して執行抗告により争うことができきます。

競売と執行異議(民事執行法第11条)
申立てられた競売に対して、どうしても納得が行かないという場合には、裁判所にたいして執行異議を申立てることはできます。 ただし、競売を中止させるには申立人の違法性を指摘しなければならないので非常に難しいと考えられます。
 
強制競売の申し立てを却下する決定に対しては、執行抗告ができることになっています。

不動産引渡しに対する執行抗告(民事執行法第83条)
引渡し命令はこれが確定すると債務名義となり、債務者もしくはその不動産を占有している人に大きな影響を与えることになるから、引渡命令正本が送達された日の翌日から1週間以内であれば執行抗告という不服申立ができます。

執行抗告が提起された場合は、引渡命令が確定しないことになりますので、その抗告事件の判断がなされるまでその後の強制執行手続はできないことになります。

この場合の執行抗告は競売そのものに対しての抗告とはなりません。
民事執行法第71条(売却不許可決定)
執行裁判所は、次に掲げる事由があると認めるときは、売却不許可決定をしなければならない。

1.強制競売の手続の開始又は続行をすべきでないこと。
2.最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格若しくは能力を有しないこと又はその代理人がその権限を有しないこと。
3.最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格を有しない者の計算において買受けの申出をした者であること。
4.最高価買受申出人、その代理人又は自己の計算において最高価買受申出人に買受けの申出をさせた者が次のいずれかに該当すること。
   イ その強制競売の手続において第65条第1号に規定する行為をした者
   ロ その強制競売の手続において、代金の納付をしなかつた者又は自己の計算においてその者に買受けの申出をさせたことがある者
   ハ 第65条第2号又は第3号に掲げる者
5.第75条第1項の規定による売却の不許可の申出があること。
6.売却基準価額若しくは一括売却の決定、物件明細書の作成又はこれらの手続に重大な誤りがあること。
7.売却の手続に重大な誤りがあること。


執行抗告は落札されてしまった元の不動産の所有者や占有者が少しでも長く住んでいたい時や、立退料の交渉の道具に使ったりするときなどに行われるようです。 また、この執行抗告を元の不動産所有者などから請け負う業者さんもおります。